第1章 呼吸
義勇に背負われて帰っているうちに、だんだんとお酒が抜けてきた星波。
ようやく家が見えてきた。
大きく深呼吸をして戸を開けると鱗滝が待っていた。
「ただいま~!」
そう言って抱きつく星波を、あたたかく抱きしめる鱗滝。
「おかえり」
この数ヶ月の間にあったこと、これからは任務に行くことになったので、新しく鎹鴉を付けていただき織姫と名付けたこと、様々な話をした。
「一緒に寝てもいい?」
15歳になってもなお義勇と一緒に寝たがる星波に軽くため息が出たが、自分の布団に招いた。
あっという間に眠りに落ちた星波に目をやると、先程の背中の体温を思い出してしまう義勇。
長いまつ毛に小さく形の良い唇、形よく膨らむ胸…
ハッとして後ろを向き目を閉じた。
(これは修行だ…)