第12章 退院
「煉獄家は広い。ここに住まないか?」
「「へ?」」
槇寿郎の突然の提案に不死川と星波が間の抜けた返事をする。
「不死川の退院が決まってから、父上と千寿郎と話をしたんだ。俺たちは星波のことを本当の家族のように思っている。風弥のこともずっと見守ってきたし、これから成長を見られなくなると思うと寂しい。この数日間だけでもかなり寂しかった。それに不死川の痣のことも心配だ。煉獄家にいれば助けになれるだろう?」
杏寿郎が言う。
「いやっでもそんな迷惑になる訳にはっ…」
不死川は槇寿郎を見る。
「迷惑だなんて思ったことはない。それに不死川。お前成長したなぁ…鬼殺隊に入隊したばかりの頃はとんでもなく荒れていて、柱になった時はお館様に楯突いたと聞いたぞ。杏寿郎のことも煽ったそうじゃないか。あの坊主が父親とはなぁ…」
「父上っ…」
「槇寿郎殿…」
話し掛けても返答のない父に話し続けていた杏寿郎は、自分の報告を聞いていてくれていたことに喜ぶ。
不死川はいろいろなことを思い出し赤面する。