第12章 退院
「まだ時間もあるし、ぷらっとするかァ」
「はいっっ」
煉獄家へのお土産選びのために街に来た。
(実弥さんとお買い物嬉しいなっ)
自然と顔が緩み、小走りになる星波。
「お前っあんまり走るなよォ!っておィ!ほら、言わんこっちゃない…」
躓きそうになった星波の手を不死川が掴む。
星波は頬が赤くなるのを感じるが、手を繋げたことが嬉しくてキュッと手を握り返す。
(っ!反則だろォ…)
「そこの旦那さん!奥さん!うちの店に寄っていかないかい?」
(…お、お、奥さんっっ!!あ…でも私たちは…)
少し喜んだかと思った星波の表情が曇り、店主が不思議そうにしている。
それに気がついた不死川はバツの悪そうな顔をする。
「あー、俺らは夫婦じゃねェ…」
「え、お子さんがいるのに!?」
どストレートに質問をした店主の言葉に星波が更に落ち込む。
「これから…だ。」
ボソッと呟いた言葉が聞き取れなかった星波はパッと不死川を見たが、顔を背けてしまっていて表情は見えない。