第1章 呼吸
「星波、すまないな。あれは俺の父上だ。昔からあぁではなかったのだが、少し心が疲れてしまったようだ。」
困ったように眉を下げる煉獄に慌てる星波。
「さ、弟の千寿郎も君が来るのを楽しみに待っている!早く行ってやろう!」
先程の空気はすでに消え、いつもの煉獄のはきはきとした様子で家の中へと星波を案内した。
「弟の千寿郎だ!」
「わ!そっくり!小さい煉獄さんだ!!」
よろしくね!と思わず手を取ると照れて固まる千寿郎。
「星波、ここではみんな煉獄だ。それぞれ名前で呼ぶといい。父上は槇寿郎だ。」
「はい!杏寿郎さん!千寿郎くん!」
千寿郎の手を握ったままぶんぶんと振る星波。
「星波、千寿郎が固まってるぞ。」
ごめんなさいっ!と離れると千寿郎は真っ赤な顔で、お茶とお菓子を用意してありますので召し上がってください。と言った。
お茶をいただき、すぐに稽古が始まった。