第9章 柱稽古
混雑した店内だったが、ちょうど座れるところがあり席に着くと、ちょっと休憩…という量ではない数の甘味を注文していく杏寿郎に思わず笑い出す星波。
「あ…」
ふと声がした方を向くと、バツの悪そうな顔をして入口に立っている不死川がいた。
(実弥さん、おはぎが好きだもんね…)
「不死川か!君も甘味を食べに来たのか!この店は混んでいる!ここに座るといい!」
トントンっと自分の横の席を叩き促す杏寿郎に、不死川が青筋を立てる。
(俺となんか顔合わせたくねぇだろォが)
返事もせずにくるっと向きを変え店を出て行ってしまった不死川の背中を、悲しげに星波が見つめていた。