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星空 【鬼滅の刃】

第9章 柱稽古


「…俺は、最終選別を突破していない。」

「え?最終選別って藤の花の山のですか?」

「あの年に俺は、俺と同じく鬼に身内を殺された少年…錆兔という宍色の髪の少年と共に、選別を受けた。」

「十三歳だった。同じ年で天涯孤独、すぐに仲良くなった。鱗滝さんが育てていた星波と出会い、3人で兄妹のように育った。錆兔は、正義感が強く心の優しい少年だった。あの年の選別で死んだのは、錆兔一人だけだ」

「彼が、あの山の鬼を殆ど一人で倒してしまったんだ。錆兔以外の全員が、選別に受かった。俺は、最初に襲いかかってきた鬼に怪我を負わされて、朦朧としていた。その時も錆兔が助けてくれた。錆兔は俺を別の少年に預けて、助けを呼ぶ声の方へ行ってしまった。気づいた時には選別が終わっていた。俺は確かに七日間生き延びて選別に受かったが、一体の鬼も倒さず助けられただけの人間が果たして選別に受かったと言えるのだろうか。俺は水柱になっていい人間じゃない」

「そもそも柱たちと対等に肩を並べていい人間ですらない、俺は彼らとは違う。本来なら鬼殺隊に俺の居場所はない」

「星波さんの同期も、鬼を一体も倒さずに鬼殺隊に入った人達だと聞いたことがあります!その人たちはほぼ全滅です!義勇さんはそこから這い上がったんですよね!?」

「…。稽古なら柱につけてもらえ、それが一番いい。俺には痣も出ない、錆兎なら出たかもしれないが…もう俺に構うな、時間の無駄だ。」

沈黙が流れる。
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