第1章 漠然とした不安【リード】
「○○ちゃん~!!おーい!!!」
後ろから声をかけられるが、
あえて無視をする。
ここで振り向いたら私の負けなのだ。
「あっれ~?聞こえてないの??おーい!○○ちゃーん!!」
小走りで走ってくる私より少し背の高い悪魔
シャックス・リードくんは、私の彼氏である。
へにゃへにゃとした笑顔で横に着くとするりと手を握られる
「ねぇ、聞こえてるでしょ。なんで無視すんの?」
少し寂しそうな声、振り返ると少ししょんぼりした顔。
こいつ…私がなんで怒ってるのか全くわかってない。
『…でしょ。』
「…え?」
『サバト…行ったんでしょ…?』
そう、この男…彼女がいながら、サバトに行ったという情報を聞いた……
「な、なんでそれを…!」
『エリザちゃんに聞いたんだけど!?』
私はクラスは違うけどアブノーマルクラスの子とは比較的仲良くしてもらってて、よくエリザちゃんにも話を聞いてもらう。
アブノーマルクラスの子とご飯行くならまだしも...
私と同じクラスの女の子と行くなんて…...
『酷いよ……』
めんどくさいと思われたくなくて、
嫌われたくなくて、
じわりと視界が滲んでいくのを堪えるけど、
溢れだしたら止まらない涙はポロポロと地面に落ちていった
「ご、ごめん!ほんと…」
『…ぅ、っ、ぐす、……』
いつも、不安だった
リードくんは飽き性で、賭けが好きだから
いつかは私に飽きて、他の子のところに行っちゃうんじゃないかと思ったから。
賭けに出て、私よりもっと上の地位の、私よりもっともっと美人な悪魔を追いかけていくんじゃないかって思って。
ずっとずっと、
不安で、それでも、リードくんが私だけを見てくれて、私の隣を歩いてくれてたから、少しの間でも安心できていたはずだった。