第49章 スビト・フォルテな衝撃【渋谷事変】
『冥冥は虎杖が抜ける隙を作ってくレ。呪詛師で機体後はとりあえずこの線路を押さえておいて欲しい。だが、まだ相手の出方が分からン』
「臨機応変ね。ところで、君の口座はもう凍結されたかい?」
『……エ? いや、まだそこまでハ……』
メカ丸が敗北したと話していたのは十月十九日だったか。
それから星良に救われて治療を受け、さぁこれから事情聴取というときに今回の事件。口座まで手は回っていないらしい。
「それはよかった。報酬は期待しておくとしよう」
『…………』
メカ丸が黙ったかと思うと、ゴホンッと咳払いをして空気を切り替える。
『五条 悟が消えれば、呪術界も人間社会もひっくり返る。すまないが命懸けで頼ム』
それでもいいと思っていたんだが……最低だな、我ながラ……。
そう小さく紡がれた言葉は、耳に直接 メカ丸をつけていた虎杖にははっきりと聞きとれた、
「僕は?」
憂憂の問いに、メカ丸は『好きな方につケ』と簡潔に返すと、彼は迷うことなく姉につく。
「皆、来たよ」
現れたのは犬に似た異形を連れた男。奇妙な帽子を被った上半身裸の痩躯の男は、ジャラジャラと鎖を巻いた異形を連れている。あれは式神か?
「冥冥だな?」
歯茎をむき出しにし、目をギョロつかせながら冥冥を見る。
どうやら、彼女のことを知っているらしい。
単純に彼女が有名なのか、それとも こちらの情報が敵側に渡っているのか……。
冥冥は憂憂から斧を受け取り、大きく振りかぶる。
「好きに動いていいよ。合わせるから」
「押忍!」
拳を打ちつけ、虎杖も腰を落として臨戦態勢をとった。
* * *