第5章 アレグレットに加速する心【自分のために】
「ごめん。そろそろ行かないと」
「あたしも。次の任務、小樽って言われたんだ。星也は長崎よね」
バタバタとし始める二人に、伏黒と詞織が改めて礼を言って見送る。
「はぁ……疲れた」
「星也さんの方が疲れてるだろ。帰ってきて、特訓につき合って、今から準備」
「優しいんだな、星也さん」
そう言うと、伏黒が「まぁな」とどこか自慢げな表情をした。
もしかしたら、伏黒にとってあの二人は、兄や姉のような存在なのだろうか。詞織とは幼なじみだと言っていたし、兄弟のようなつき合いをしていたのかもしれない。
「メグ、このまま部屋に戻る?」
「一回、汗流したい」
「じゃあ、お風呂ね。ユージも行くでしょ?」
「おぉ、風呂か。いいな」
「大浴場」
「すぐ準備してきます!」
敬礼の真似をしながら、「お風呂お風呂」と鼻歌をうたう。
こうして、虎杖は伏黒と詞織の三人で、わいわいと騒ぎながら大浴場へ向かった。