第47章 長き決戦のオーバーチュア【渋谷事変】
――同時刻。
渋谷マークシティ
レストランアベニュー入口(【帳】外)
【禪院班】
・禪院 直毘人(なおびと)(特別一級術師)
・禪院 真希(四級術師 昇級査定中)
・釘崎 野薔薇(三級術師 昇級査定中)
・吉野 順平(三級術師)
「えぇっ⁉︎ 全然 人いないじゃん⁉︎」
「駅前のスクランブル交差点が無人⁉︎ ハロウィンの渋谷よ⁉︎」
閑散とした現場に、順平は釘崎と驚愕の声を上げた。
釘崎の言う通り、ハロウィンの渋谷だ。それも駅前となれば、すれ違うたびに誰かとぶつかるレベルで人が集まるはずだろう。
それなのに……人が全くいない。
「そこで何かがあったみたいッス」
そう、補助監督である新田 明が【帳】を指さす。
「皆 散り散りに【帳】の縁(へり)まで逃げて、こう訴えています」
――『五条 悟を連れて来い』、と。
新田の言葉に、順平は釘崎や真希と目を見開いた。
「ご、五条先生って 術師以外も知ってるくらい有名なんですか⁉」
思わずそう言うと、直毘人は髭を撫でながらフッと小さく笑う。
ちなみにこちらの着物のご老人は真希の祖父で、御三家の一角・禪院家の現当主らしい。
よりによってそんな偉い人と一緒の班なのか。無理を言った手前、文句などは言わないが。