第47章 長き決戦のオーバーチュア【渋谷事変】
「君たちにも行ってもらうよ」
緊急で呼び出され、順平たち一年五人が招集された。
「これ……どう見ても一級の任務ですよね?」
伏黒の指摘に、五条はいつもとは違う固い声音で「あぁ」と頷く。
「【帳】の規模、状況から見ても一級任務。これは昇級審査も兼ねている――といっても、悠仁とパンダは保留にされちゃったけど」
虎杖は【宿儺の器】であることが危惧され、パンダは【呪骸】であることが引っかかったらしい。
「大丈夫。君たちにはそれぞれ班で動いてもらうけど、各班には一級相当の術師がついてる。それに――……」
――……僕も行く。
ゴクリと順平は緊張から唾を飲み下した。
「悠仁は冥さん、恵と詞織は七海、野薔薇は禪院特別一級術師のチームに入って任務に当たってくれ」
そこで、順平は「ん?」と首を傾げる。
「あの……僕は……?」
自分の名前が挙がらなかったことに首を傾げると、五条は順平の肩を一つ叩いた。
「君は留守番だよ、順平」
「……え……?」
何を言われたのか分からなかった。
何度も反芻して、時間をかけ、ようやく意味を理解する。
「な、なんで……⁉︎ 僕も……っ!」
「言ったでしょ。これは一級任務だ。そして、順平は三級になったばかり。三級という点では野薔薇と等級は変わらなくても、経験がまるで違う。君の今の実力で一級任務へ参加するのは自殺行為だ」
確かに、自分は弱い。経験が足りないというのも間違いない。
それでも……。
「君はお母さんを殺した呪詛師を見つけたいんだろ? こんなところで命を散らす必要はない」
ポンッと肩を叩かれ、順平はギュッと握り込んだ拳を震わせた。