第46章 夢は終わってダ・カーポ【これからの話/宵祭り】
「呼吸が、安定した……はっ、はぁ……っ」
よかった……あとは、意識さえ取り戻せれば……。
すると、与の瞼が薄っすらと開き、唇が微かに震える。
「何? どうしたの?」
口元に耳を寄せると、吐息混じりの声音をどうにか聞き拾い、星良は泣きそうな顔で「えぇ」と頷いた。
――「……皆に、会いたい……」
「会えるわ、必ず――……よく頑張ったね」
与が京都校を裏切った理由は知らない。
それでも、彼にとっては意味のあることだったのだろう。
だから、こうして命を懸けて戦ったのだ。
当事者ではない自分が、「なぜそんなことを」と責める資格はない。
再び気を失った与に労いの言葉を贈り、星良はすぐに新田へ電話をかけた。
外傷の治癒はできたが、頭部の傷はかなり酷かった。傷が脳に影響を及ぼしている可能性は否めない。
『星良さん⁉︎ 大丈夫っスか⁉︎ 突然【帳】が上がって……連絡もなくて心配してたんスよ⁉︎』
「うん、大丈夫。戦闘はなかったから……与くんも……今のところ無事。それでね、一つお願いがあるんだけど……迎えにきてくれる? ちょっと、呪力消費しすぎちゃって……動けそうにないの……」
『えぇ⁉︎ 戦ってないのに動けないほど呪力を消費するって、何があったんスか⁉︎ 』
そう言いつつも、『すぐ行くんでその場を動かないでくださいっス!』と電話を切る。
その後 家入に連絡をして事情を説明し、星良は新田に頼んで、急いで与を高専へと運んだ。