第46章 夢は終わってダ・カーポ【これからの話/宵祭り】
『直接 触れなくたって、領域に入れちゃえば関係ない。それはオマエも分かってただろ? ハロウィンまでざっと十日。俺が呪力をケチッて領域まで使わないと思ったか? 十日も休めば全快するよ』
そう言って、真人がこちらに背を向けた。
『作戦に夢と希望を詰め込むなよ。気の毒すぎて、表情に困るんだよね』
――いまだ!
ドスッと真人の胸を貫く。
『は?』
真人の左腕を吹き飛ばした筒――それを起動し、メカ丸の指先が真人を貫いたのだ。
そう――コレにはあの呪術が封じられている。
自分ではこのやり方でしか術を成立させられなかった。
ストックは四本―― 一本目は失敗。
二本目は奴の領域から操縦席を守るために使った。
そして今、三本目――……。
それは平安時代――蘆屋 貞綱によって考案された。
呪術全盛の時代、凶悪巧者な呪詛師や呪霊から門弟を守るために生み出された技。
一門相伝――その技術を故意に門外へ伝えることは、“縛り”で禁じられている。
それは“領域”から身を守るための弱者の“領域”。
――全て、視てきた。
「【シン・陰流『簡易領域』】」
“領域”はあらゆる術式を中和する。
領域内ではあの五条 悟にすら攻撃が当たるのだ。
簡易とはいえ、“内側から”領域を発生させれば真人でも術式関係なくダメージを負う。
真人の身体が弾け、【領域展開】が解除された。