第45章 君へ捧げるレクイエム【呪術廻戦0】
「おい、憂太! 大丈夫か⁉」
「こんぶ!」
「しっかりしろ、憂太!」
身体を揺すられ、何度も名前を呼ばれ、乙骨はゆっくりと瞼を持ち上げた。
「……皆……」
ハッと我に返り、勢いよく身体を起こす。
「皆、怪我……真希さん、狗巻くん……あぁっ! パンダくん、腕 治ってない‼」
いっぱい いっぱいで気づかなかった。申し訳ない!
「落ち着け、憂太。全員、今の憂太より元気だ」
「俺の腕は、二人と違って 後でどうにでもなる。助けてくれてありがとうな」
「しゃけ」
彼らの言葉は、乙骨の胸を強く打った。
守れたんだ。こんな自分でも……大切な皆ことを。
泣きそうになって肩を震わせていると、『憂太』と名前を呼ばれる。振り返れば、少し離れた場所で里香がこちらを見ていた。
「ごめんね、里香ちゃん。待たせたね」
ふわりと優しく笑み、憂太は立ち上がる。
「どーした、憂太?」
パンダに呼びかけられ、ビクッと身体が強張った。
「えーっと……力を貸してもらう代わりに、里香ちゃんと同じ所に逝く約束を、ですね……」
「「「はぁ(高菜)⁉」」」
真希たちが驚愕に目を見開く。
「オマエ、それって死ぬってことじゃねぇか! 何 考えてんだ、バカ!」
真希が胸倉を掴んで揺すってくる。
怒ってくれるのは嬉しい。だが、仕方がないではないか。あのときは、あぁする以外に方法がなかったのだ。
星也は自分のために駆けつけてくれた時点で、呪力がほとんど残っていなかった。それなのに、一緒に戦ってくれた。
ぎゃあぎゃあと四人で騒いでいると、目の前で里香の輪郭がじわじわと揺らいだ。さらに、ザッと音を立てて解けると、幼い少女の姿へ変わる。