第45章 君へ捧げるレクイエム【呪術廻戦0】
五条の術により、パンダと狗巻が高専の上空へと送り込まれる。そこには、高専を黒いドームが覆っていた。【帳】が下りているのだ。
五条の勘が当たっているのかもしれない。
「俺が【帳】を破る! 後は“最短”で行くぞ‼」
「明太子!」
パンダは大きく拳を振りかぶり、【帳】を殴りつけた。
一度でできないなら二度、二度でできないなら三度と何度も何度も殴りつけ、ピシッとひびが入る。そのひびを一際 強く殴りつけると、パリンッと音を立て、【帳】に大きな穴が開いた。
「よしっ!」
狗巻を促し、パンダは先を急いだ。夏油が来ているなら正門だろうか。ここからだと五分はかかりそうだが……。
「ふんっ!」
パンダは躊躇うことなく壁を壊して突き進んでいく。このやり方なら最短だ。そして――……。
――バゴンッ‼
想像通り、正門には夏油 傑がいた。彼は目を丸くし、「やるね」と感心する。
パンダは壁を突き破った勢いのまま、ちょうど正面にいた夏油へ連撃を入れた。だが、彼は飛び退くように避ける。そこで、視界の端で真希が血だらけで倒れている姿が見えた。
――「勘が当たれば、最悪 憂太と真希の二人が死ぬ!」
五条はそう言っていたが――まさか、死んでないよな⁉
「よそ見」
そう言って、夏油の裏拳がパンダの横っ面を叩く。
「くっ……うぉぉぉぉぉ‼︎」
パンダは核を入れ替え、【ゴリラモード】へとボディを転換(コンバート)した。そして、高く跳躍し、拳に呪力を乗せて迫る。
だが、夏油はパンダの攻撃をひらりひらりと躱し、ワームのような呪霊をけしかけてきた。それを叩きつけるように祓うが、眼前に夏油はいない。
背後から回し蹴りを食らい、畳みかけるように踵落としが決まった。顔面を叩きつけられ、足元の石畳が割れる。強い――体術もできるのか。