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夢幻泡影【呪術廻戦/伏黒 恵オチ】

第43章 それはとんでもないトロイメライ【呪術廻戦0】


「お集まりの皆々様! 耳の穴かっぽじってよーく聞いて頂こう‼︎」


 ――来たる十二月二十四日! 日没と同時に、我々は百鬼夜行を行う‼︎


 場所は呪いの坩堝――『東京 新宿』
 呪術の聖地――『京都』


 各地に『鏖殺(おうさつ)』の命令を下した千の呪いを放つ。

「地獄絵図を描きたくなければ、死力を尽くして止めに来い!」


 ――思う存分 呪い合おうじゃないか!


 そこへ、「あー!」と菜々子がスマートフォンを見て声を上げた。

「夏油さま、お店が閉まっちゃう!」

「もうそんな時間か。すまないね、悟、星也君。彼女たちが竹下通りのクレープを食べたいときかなくてね。お暇させてもらうよ」

 先ほどとは打って変わり、和やかな雰囲気が流れる。その間に、菜々子や美々子、ラルゥがペリカン呪霊の口の中へ入っていった。

「いやはや、あんな猿の多いところの何が――……」

「このまま行かせるとでも?」

 五条が低い声で言い放つ。

 星也が印を結び、日下部が刀を構え、星良が呪符を抜き、七海が鉈を構え、灰原が折神を召喚し……さらに、五条の後ろに控えていた術師が武器を構え、術式の発動準備を終えた。

 背筋が粟立つほどの気迫に、乙骨はゴクリと息を呑む。

「――やめとけよ」


 夏油から呪力が立ち上り、背後から大きな瞳をぎょろつかせ、人の頭を首飾りにした人型呪霊が飛び上がった。

 先日 商店街で会った準一級相当の呪霊だ。

「可愛い生徒たちが、私の間合いだよ」

 印を結んだ呪霊が髑髏のような群れを呼び出し、乙骨たちを取り囲む。

「それでは皆さん、戦場で」

 にこやかに去って行く夏油を見送るしかなく、乙骨は襲い来る髑髏を捌くので精一杯だった。
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