第42章 鮮明なリバーブ【呪術廻戦0】
「ごめんな、詞織。アイツらのことはどうでもいいけど、オマエが気に病んでるのは、ちょっと悪いと思ってる」
「メグ……わたしもごめんね。いつもわたしのせいで、メグが悪いみたいに言われて……」
「気にしてない」
これだけ甘い雰囲気になれるのに、まだつき合ってないのか。
さっさとつき合ってしまえばいいのに。
不器用で押し切れない伏黒と、恋愛に疎い詞織。
相性がいいのか悪いのか。
「私より、星良さんはどうなんですか? 好きな人。七海さん、でしたっけ?」
「あんまり連絡くれないのよねぇ。たまに高専で会ったときはチャンスだから、絶対逃さないようにしてるわ。この前は灰原さんが気を利かせて二人にしてくれたけど、反応がフツーっていうか……脈ナシなのかなぁ。初めて会ってから十年は経ってるし、考えてくれるって約束なんだけど」
姉は初めて会った日から、十年以上も七海に片想い中だ。
いや、七海なら大丈夫だ。
初対面のときは自分もまだ子どもだったが、今はそれなりに世の中のことを分かっている。
五条が好きだというよりずっといいではないか。あの人は強いことと顔以外の取り柄がないが、七海は強い上に顔も良くて大人な紳士だ。
「…………」
幸せになってくれればいい。星良も詞織も。伏黒も津美紀も。
罪深いこの身の分まで。
「四人とも。カレーが冷めるよ」
声をかけると、四人が「はーい」と食事に戻る。
楽しくて、罪深いくらいに幸せな日々が、これからも続けばいい――……。
そう、思っていた……。
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