第42章 鮮明なリバーブ【呪術廻戦0】
【記録――2017年5月 東京】
同級生による執拗な嫌がらせが誘因となり、首謀者を含む四名の男子生徒が重傷を負う。
* * *
「ロッカーに同級生を詰め込み……イジメが原因なら自業自得では?」
――呪術高専四年 特級呪術師 神ノ原 星也
「ははっ。相変わらずクールだね、星也」
――呪術高専四年 担任 特級呪術師 五条 悟
担任の五条の話に、星也は嘆息した。
「幼い頃に結婚の約束をした幼なじみが事故死。それが【特級過呪怨霊】となって彼を呪っている、というわけですか」
資料を見ながら言うと、五条は「そ」と頷く。
「詩音と同じ、ね」
「同じ……そうですね。でも……」
「今、秘匿死刑待ちなんだけど、どう思う?」
「どうって……それ、僕が言って何か変わるんですか? もう終わった話では?」
そもそも、自分は名門の当主とは名ばかりの、ただの四回生なのだが。
「ん? ただ聞いてみただけ」
なんなんだ、この人。
「執行すればいいのでは? 本人も望んでいるようですし」
未成年の十六歳――珍しい話だがありえないことではない。詞織も四歳で【特級過呪怨霊】に取り憑かれ、死刑待ちをしていた。
「まぁ、そうなんだけど」
「『そうなんだけど』、どうなったんです?」
振り返った五条がニッと笑う。
「後輩になったの。君のね。だから、困ってたら助けてやって。同じ特級として」
あぁ、それが言いたくて呼んだのか。高専に編入したのは、何となく想像していたけど。