第41章 青き春はドレンテにひび割れて【玉折】
「はいはい」
パンパンッと五条が話を変えるように手を打つ。
「優秀な君たちにさっそく任務だよ」
「え⁉ 今から⁉」
「入学初日なんですけど」
しかし、星也と星良に構わず、五条はいつもの軽薄な笑みを浮かべた。
「まず、星良はすぐに硝子と合流してくれ。特級案件に派遣された術師たちが帰って来ててね。硝子が手伝いに寄こせってさ。七海や灰原も笑えるくらいボロボロだったよ」
「七海さんが⁉ 大変! じゃ、星也。あたし、行くね!」
「ね、姉さん……」
ビューンッと瞬く間に星良の背中が小さくなっていく。
「星也は別の任務ね。はい これ、資料」
「はぁ……」
星也は渡されたタブレット端末に表示された資料に目を通し、顔を青ざめさせた。
「あの、五条先生。これ、僕が行く任務で間違いありませんか?」
「うん、そう。星也一人でね」
「一人……これ、どう考えても特級案件ですよね?」
「そうだよ」
「僕、準一級なんですけど……」
「呪術師は万年 人手不足だからね」
いや、それでも無茶だろう。殺す気なのか?
さっき、特級案件に数名 出していただろう。なぜ、自分は一人で行かなければならないんだ。
「ギリ特級案件ってくらい軽い方だから、星也ならダイジョーブ! 死ぬ気でやればね‼」
ほらほら~と五条に促され、星也は任務地に向かった。
ついて来てくれたということは、少しくらい手伝ってくれるのかと期待したが、まさかの完全放置。
数時間後――何度も死を覚悟しつつ、星也はどうにか呪霊を祓う。
ようやく五条の元へ帰ると、彼は自動車の中で熟睡しており、軽く殺意を覚えたのは言うまでもない。