• テキストサイズ

夢幻泡影【呪術廻戦/伏黒 恵オチ】

第41章 青き春はドレンテにひび割れて【玉折】


「もうそろそろいいかな。生き方は決めた。後は自分にできることを精一杯やるだけだ」

 五条は反射的に、夏油の背中に結んだ掌印を向ける。攻撃の気配を感じたのか、彼は振り返ることなく口を開いた。

「殺したければ殺せ。それには意味がある」

 それを最後に、夏油は雑踏の中へと消えて行く。

 殺す。そのつもりで掌印を向けた。

 けれど、未だ混乱する頭は、夏油を呪詛師と認識してくれなかった。

 一緒になってバカ騒ぎした日々が、背中を預けて戦った日々が、目の前の現実を拒絶する。

「……追いますか?」

 わざわざ聞くことじゃねぇだろ。

 アイツは呪詛師になった。

 今すぐ追いかけて息の根を止める必要がある。

 オマエだって分かっているはずだ。

 それでも――……。


「いや……もう、いい……」


 掠れた声で呟き、五条は掌印を握りしめ、ゆっくりと腕を下ろした。

* * *

/ 859ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp