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夢幻泡影【呪術廻戦/伏黒 恵オチ】

第34章 皆と過ごすディヴェルティメントな日々


「あ、ほら! 別に神ノ原さんだけじゃないし! 虎杖くんも伏黒くんも釘崎さんも、皆のこと名字で呼んでるから!」

「別にいいぞ、名前で呼んでも。俺も順平って呼んでるし。なんなら、伏黒たちのことも名前で呼べば?」

 おい、虎杖。話をややこしくするんじゃない。

「断る」

 ほら、伏黒に振られた……って、そんな話じゃなかった。

「わたしは名前がいい。名前の方が、仲良くなれたって気がする」

 そういえば、詞織はほとんどの人のことを下の名前で呼んでいるな。

「五条先生とか、夜蛾先生は名字だよね?」

「あの二人は名字の方が発音しやすい。発音しやすい方が、いっぱい呼べる」

 そういうことか。
 夜蛾は名字の方が音数も少ないし、五条も同じ母音の長音が続く。

 たくさん名前を呼べるということが、詞織にとっての親愛の証なのか。なんか可愛い考え方だな。

 だが! それとこれとは話が別だ。

 順平は「えぇっと……」と狼狽えて答えを出せずにいた。

「呼んでくれないなら、今日の特訓はつき合わない」

「うそ⁉︎」

「そうか。残念だったな。じゃ、お疲れ」

 詞織の肩を掴んで部屋に引き入れ、伏黒がドアを閉めようとするのを、ドアの縁を掴んで止める。

「いやいやいや! ちょっと待って! 分かった! 呼ぶ! 呼ぶから‼︎」

「はぁ?」

 伏黒が凄んでくるが、こちらも真剣に強くなりたいのだ。

 逃げない。負けない。挫けない。

「あの……えっと……その……よろしくお願いします。詞織、ちゃん……」

 やば、めっちゃ恥ずかしい。
 なんで虎杖たちは平気な顔で呼べるんだ?

 同級生の女子を名前で呼んだことなんてないんだけど。

 恥ずかしさから顔を赤くしていると、伏黒が低く舌打ちする。
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