第33章 アモローソに募らせた再会【そういうこと】
「本当にいいのか?」
「そうだよ。せめて連絡先だけでも……」
伏黒と順平に、釘崎は「大丈夫でしょ」と頷いた。
「連絡先ならあたしと交換したし。それよりアンタたち。あたし、ようやく自分の気持ちに気づいたわ」
「あ?」
「え?」
「なんの話?」
伏黒、順平、詞織の視線が集まる。
そう。優子と話していたときに感じたモヤッとしたあの感情の正体。
「あたしが彼氏を作るより先に、虎杖に彼女ができるのが、なんかムカつく。あたしの後ろを歩けよ」
「あっそ」
「ごめん、よく分かんない」
「おい、吉野。オマエも同じだかんな!」
「すっごい理不尽なこと言われてる……」
興味なさそうな伏黒、首を傾げる詞織、顔を引き攣らせる順平。
そんな釘崎や他の三人の話は全く聞いておらず、虎杖が「なぁなぁ!」と手を振って駆け寄ってくる。
「上映時間 間に合うし、皆で映画行こー!」
屈託ない笑顔の虎杖に、釘崎たちは互いに顔を見合わせ、ふっと気の抜けた笑みを浮かべた。