第33章 アモローソに募らせた再会【そういうこと】
「ちょっと、伏黒!」
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい!」
話を進めたいので、こうなったらさっさと切り札を使おう。
「伏黒を宥めろ」とジェスチャーをすると、詞織はコクリと頷き、伏黒の袖を小さく引いた。
「メグ、怒ることないでしょ。わたしの彼氏はメグなんだから」
「………………そうか」
表情が和らいだ。どうやら落ち着いたようだ。
伏黒も詞織に擦り寄り、大きく息を吸い込んだ。
自分たちは何を見せられているんだ?
同級生がイチャついているところなど見たくない……と考えて、この二人はこれが通常運転だったことに気づく。
「ったく……アンタ、詞織のこととなると沸点が低いわよね」
「仕方ないだろ」
「本当にごめんなさい。余計なこと言っちゃって」
「メグが気にしすぎなだけ。わたしはなんとも思ってない」
淡々とした表情から感情は読み取れないが、「気にするな」と言っているのだけは分かる。
優子の肩の力が抜けたところで、釘崎は本題に入ることにした。
「で、伏黒。虎杖って彼女いる?」
「まぁ……彼女はまずいないだろ」
ほとんど即答に近い答え方に、「根拠は?」と聞いてみる。
「急に東京に来るってなって、困った様子なかったし。あと、部屋にグラビアポスターが貼ってある。彼女いる奴ってそういうの貼らねぇんじゃねぇか? 相手 嫌がるだろ」
なぁ? と隣にいる詞織に同意を求める伏黒。
「確かに……メグの部屋に貼ってあるのは、イヤ……かも」
拗ねたようにむくれる詞織は、かなり可愛かった。
自分も大概 絆された……おっと、伏黒にはクリティカルヒットだったようだ。胸を押さえて赤くなった顔を隠している。