第33章 アモローソに募らせた再会【そういうこと】
大きな任務が終わり、久々の休みに釘崎は町をぶらぶらと歩いていた。
好きなブランドの新作を試し、今はタピオカミルクティーを飲みながらウィンドウショッピング中である。
同じく休みの虎杖は順平と映画、伏黒は詞織とデートに行った。
なんか可愛い服でもないかなぁ、と時折り店のショーウィンドウを眺めていると、「あの」と突然 見知らぬ背の高い明るい髪色の少女に声をかけられる。
「……スミマセン……さっき、虎杖君と一緒にいませんでした?」
「……へ?」
確かに虎杖たちとは連れ立って来て、途中で分かれた。その様子を見ていたのだろう。
緊張でいっぱいいっぱいな様子。
何を話したいのか分からないが、店先で話していては邪魔になってしまう。
一旦 近くのファミレスに入ってジュースを注文すると、ほどなくして彼女――小沢 優子はスマートフォンの写真を見せてきた。
優子の手に隠れてはいるが、黒い髪のぽっちゃりした女子生徒が男子生徒と写っていることは分かる。
「コレ、中学卒業式のときの私です」
「えっ、マジィ⁉ 半年前でしょ⁉ 何がどーしたの⁉」
釘崎は目を瞠り、優子と写真を見比べる。
髪を染めてイメチェンならまだしも、身長や体型はイメチェンの一言では表せない。もはや別人である。
「いやぁ、そのときから身長だけ十五センチくらい伸びまして……それと、東京に来て環境の変化のストレスでみるみる……」
半年で十五センチも身長が伸びるなんて、そんなことがあるのか。
「ほへぇ~」と驚きで変な声が出る。
そこで、彼女がスマートフォンから手を離したことで、写真の全容が見えた。
「虎杖じゃん」
優子と写っていたのは、虎杖 悠仁だ。