第31章 もっと強くフェローチェに【起首雷同】
ザァ……と音を立てて人生ゲームのルーレットが回る。
男――脹相はその動きをじっと見つめていた。
『夏油、株券』
「どうした? 脹相」
夏油は株券を真人に渡すと、脹相の様子がおかしいことに気づく。
『……弟が――壊相と血塗が死んだ』
脹相は、苛立ちまぎれに、パキッと駒を折った。それは、真人が小さく縮めた元人間だ。
『あーっ! コマ壊すなよ!』
「そういうの分かるんだ?」
どういうことだ?
二人は呪霊が持つ【宿儺の指】を取りに行く『お遣い』を頼まれていた。
受肉体ならまだしも、二人が指一本分の呪霊にやられるとは思えない。
『もー、まだあったかなー』
真人が話もよく聞かずに袋の中を漁る中で、夏油は「待ってね」とスマートフォンを操作した。そして、目を瞠ると、小さく声を立てて笑う。
「報告が入ったよ。壊相と血塗を殺したのは、呪術高専一年――虎杖 悠仁とその一派だ」
虎杖の名にピクリと反応した真人は、ニヤリと喜びに満ちた笑みを浮かべた。