第29章 追憶のバラッド【起首雷同】
八十八橋の下で、起き上がることもできず、伏黒は浅い呼吸を繰り返す。
意識を保っているのもやっとだった。
この【八十八橋の呪い】も重複してただけで、津美紀が寝たきりの原因になった呪いは解けてないだろう。
そして、手の中にある【宿儺の指】を見つめる。
この指のことを、虎杖になんと言えばいいのか。
「…………」
頭が回らない。
何も考えられない。
指先が痺れてくる。
身体がひどくダルかった。
「……早く……詞織のところに……」
加勢に行かなければと思ったところで意識が遠のき――伏黒は気絶するように眠りに就いた。