第28章 アンショーソに掻き立てられる【起首雷同】
どうする? 自分だけでも津美紀のところに行くか?
いや、もう五人でも危険な任務だ。詞織たちだけに【八十八橋の呪い】を任せることはできない。
詞織を津美紀のところへ向かわせても同じ。
被呪者のところに行く呪霊がどれだけの強さを持っているのかも未知数。そんな賭けのようなことはできない。
来週には五条も帰ってくる。そのとき改めて――……。
――違ぇだろ!
伏黒は震える拳を握りしめる。
問題は時間制限(タイムリミット)だ。呪霊が襲ってくるタイプじゃなく、マーキングした人間の内側から術式が発動するタイプ。
だったら、側で守り続けても意味がない。
――今すぐ祓うしかない!
ガクガクと震える詞織を見ていると、決意が胸に沸いた。
そんな顔をさせないくらい、自分が強ければいいのに。
星也のように。五条のように。
伊地知との電話を切り、伏黒は詞織を抱きしめた。
「――戻ろう。アイツらを待たせてる」
「メグ……?」
何かを感じ取ったのか。
それでも何も言わせず、首を傾げる詞織の手を無言で引き、虎杖たちのところまで戻る。
「なんで伊地知さんと話してんの? 津美紀の姉ちゃん、無事だったか?」
「問題ない。それより、任務の等級が吊り上がった。この件は他の術師に引き継がれる。オマエらはもう帰れ」
首を傾げる三人をミニバンに押し込んだ。