第24章 パッションの爪痕【完遂~呪術甲子園】
「どーせ勝つしね」
「それはまだ早いんじゃ……」
釘崎の勝利宣言に、順平が苦笑いを浮かべた。
「屁理屈だが一理ある」
「加茂君は休んだら?」
包帯で顔をぐるぐる巻きにした加茂に、桃が呆れたような表情をする。
「異議なーし」
「しゃけ」
パンダと狗巻も、特に反対意見はなさそうだ。
「個人戦の組み合わせはくじ引きか?」
真希の問いに、五条が「え?」と声を出す。
「今年は個人戦やんないよ」
その言葉に、その場にいた全員が面食らった。
交流会は、それぞれの学長が提案した勝負法を一日ずつ二日間かけて行なう。
だが、それは建前で、初日が団体戦、二日目が個人戦って決まっている。
そう、誰もが思っていたのだが、五条は「僕、ルーティンって嫌いなんだよね」と言って、虎杖に小箱を投げて寄越した。
「毎年この箱に勝負方法入れて、当日に開けんの」
以前に楽巌寺を含め、京都校のメンバーが東京校に来たのも、当日に必要なものの確認だったらしい。
虎杖が箱を開けて中に入った紙を取り出す。
紙には、『野球』と書かれていた。
「や……」
「野球ぅ〜〜〜〜?」
楽巌寺と夜蛾が虎杖の取り出した中身を見て、驚愕の声を出す。
「どういうことだ、夜蛾」
「いや、私は確かに個人戦と……待て、悟!」
鼻歌をうたいながら、五条は軽快な足取りで部屋を出て行った。