第4章 決意へのマーチ【秘匿死刑】
「……呪術規定に基づき……」
「虎杖 悠仁……オマエを……」
詞織に被せるように伏黒は続け、二人は声を揃えた。
「「――【呪い】として祓う(ころす)」」
感情を押し殺し、どうにか吐き出した言葉。
それは詞織も同じようで、虎杖を警戒する少女の表情には微かな戸惑いと不安、悲しみなどの感情が読み取れた。
自分は間違っていない。そう、自分に言い聞かせる。
間違っていない。間違っていない。間違っていない。
間違っていない――……けど。
……間違っていなければ、コイツを殺してもいいのか?
頭に過った迷いに、伏黒は奥歯を噛み締める。
「いや、なんともねぇって。それより、俺らボロボロじゃん。早く病院に行こうぜ」
そう言う虎杖の顔や身体からは、刻まれていた文様が消えていった。
どうすればいい?
――「せめて、自分が知ってる人くらいは正しく死んでほしいって思うんだ」
――「あるじゃん、全員が助かる方法。俺に"ジュリョク"があればいいんだろ」
虎杖の言葉が蘇る。
死なせたいわけじゃない。
殺したいわけじゃない。
だが――……。
「今、どういう状況?」
「えっ?」
「なっ、五条先生!」
何の前触れもなく唐突に姿を現した五条は、片手に紙袋を下げて「やぁ」と、張り詰めた緊迫感を一瞬にして粉々に砕いた。