第23章 滾る想いのコン・アニマ【黒閃~規格外】
試合が始まって間もなく――京都校の生徒に囲まれた中で、虎杖は東堂 葵と名乗る大男に好きな女のタイプを聞かれた。
「女のタイプ? よく分かんねぇけど、強いて言うなら……尻と身長(タッパ)のデカい女の子……?」
なんでそんなことを聞くのかと思ったものの素直に質問に答えると、彼は突然 号泣し出した。
「…………地元じゃ負け知らず……か。どうやら俺たちは、親友のようだな……!」
「今 名前 聞いたばっかなのに⁉︎」
混乱する中での殺気。気がつけば京都校の奴らに囲まれていた。殺気は東堂以外の学生から放たれているものだ。
まさか自分を殺す気なのかと思ったものの、東堂が手を鳴らした瞬間、弓を構えていた男子生徒と位置が入れ替わり、やがて彼らは自分と東堂を残して退いて行った。
そこから、虎杖と東堂は何度も拳を打ち合い、呪力をぶつけ、殴り合った。
単純な力比べなら自分の方が強い自信はあるが、相手も死線を何度も潜り抜けた呪術師。どうしても、決定打をうたせてもらえない。
それでも、手加減なしで戦える相手。
そして、東堂は虎杖を「親友(マイフレンド)」と呼び、拳と時間差で相手に呪力をぶつける【逕庭拳】が悪癖であり、特級には通じないことを教えてくれた。
呪力を身体に流すことの真髄……戦うごとに自分が強くなっていると分かった。
皆は大丈夫だろうか。
試合はどう進んでいて、どちらが有利なのか。
そんなことを考える暇もないくらい、目の前の戦いに夢中になっていた。
そのときだ――突然、空が黒く覆われ、【帳】が下りたのは……。
・
・
・
ジリジリと照りつける空の下で、虎杖は特級呪霊――花御と対峙していた。
そこへ、少し離れた位置から、東堂が「虎杖」と呼びかける。