第22章 未定
「伏黒クンたちは?」
「病み上がりだ。反転術式を掛けたとはいえ、すぐに戦闘復帰するのは身体への負担が大きいし、特級呪霊との戦いで消耗している。詞織も同じだ」
言外に、行くのはお前一人だと言われ、垂水はがっくりと肩を落とした。そして、すぐに詞織へ駆け寄り、手を握ってくる。
「何かあったら、今度は伏黒クンより早く駆けつけるから!」
「わたしのことは諦めたんだと思ってたんだけど」
「伏黒クンよりいい男ってアピールして振り向いてもらおうと思って」
いや、そう思うことは天地がひっくり返るくらいありえないのだが。
「早く行けよ」
詞織を抱き寄せて引き剥がし、伏黒が垂水を威嚇する。
それをものともせず、垂水は大きく手を振って医務室を去って行った。
「ふふっ。面白いな、お前たち」
「面白がらないでもらえます? 不愉快極まりないんで」
苦虫を噛み潰したような表情で家入に返す伏黒は、それに反して優しい手つきで、詞織の頭を撫で回していた。
* * *