第21章 唐突に現れたディソナンス【京都校交流会―団体戦―〜呪具】
「生きてますか、加茂さん!」
声を掛けるが完全に意識を失っている。
その後ろでは狗巻が気を失っていた。
「メグ!」
詞織が瓦屋根を伝ってこちらへ駆けつけてくる。
「詞織」
軽く呼吸を整えた詞織の夜色の瞳が呪霊を捉えた。
「あの呪霊、なんか見覚えがある、ような……?」
「五条先生を襲った特級だ。狗巻先輩の喉が潰された。加茂先輩もやられた」
「万事休す」
簡潔に説明すると、詞織は素早く状況を理解してくれる。
「詩音は?」
「こんなことになるって思わなかったから、垂水って人相手に使った。縛りがあるから、あと十時間は呼べない。でも、呼べたとしても……」
――コイツの方が詩音より強い。
きっぱりと詞織は断言した。
呪霊が迫ってくる。弾丸並みのスピードに頭が追いつかない。
ただ、とっさに詞織を腕に抱き締める。