第21章 唐突に現れたディソナンス【京都校交流会―団体戦―〜呪具】
ボボボボボ…ッと音を立て、部屋に張られていた札――二級呪霊に割り振られている札も含めて――すべて一斉に赤く燃え尽くし、順平は息を呑んだ。
「え……団体戦(ゲーム)終了?」
「しかも、全部 赤……これって、東京校の色ですよね?」
呆然と呟く歌姫に順平も続くと、訝しげに冥冥が首を傾げた。
「妙だな。烏たちが誰も何も見ていない」
驚いているのは順平だけではない。
観覧席にいる全員が不可解な状況に眉を寄せていた。
「GTG(グレート・ティーチャー・ゴジョー)の生徒たちが祓ったって言いたいところだけど」
「確か、未登録の呪力でも札は赤く燃えるんですよね?」
呪力を持たない真希を考慮していると言っていたはずだ。
順平の指摘に夜蛾が「そうだ」と頷く。
「外部の人間……侵入者ってことですか?」
「天元様の結界が機能してないってこと?」
歌姫と冥冥ご緊張した声音。
そこに台詞に耳慣れない言葉を見つけ、順平は尋ねた。
「天元様って誰ですか?」
「呪術高専 東京校の地下最深部にある『薨星宮(こうせいぐう)』にいる呪術師だ。日本国内の結界の強化・行使を行っている」
夜蛾の簡潔な説明にひとまず疑問は解消される。
「外部であろうと内部であろうと、不測の事態には変わるまい」
確かに、楽巌寺の言う通りだ。
異常事態である以上、外部犯か内部犯かはあまり関係ない。
「俺は天元様のところに。悟は楽巌寺学長と学生の保護を。歌姫も同行しろ。冥はここで区画内の学生の位置を特定。悟たちに逐一報告してくれ」
「委細承知。賞与、期待してますよ」
抜け目のない冥冥が手を挙げて応じる。
「あの、僕は……?」
全員への指示を反芻するが、自分の名前はやはり呼ばれていない。
「順平も悟と行け。おそらく、一番安全だ」
「え……でも、大丈夫ですか? 大して役に立てなそうだし、足手まといじゃ……」
戦闘経験もないし、澱月を上手く使いこなせている自信もないのだが……。
そんなことを思っていると、五条が肩をポンポンと力強く叩いてきた。