第20章 それは笑えないスケルツォ【京都姉妹校交流会―団体戦―】
すぅ…と開かれた詞織の紅い瞳に、垂水が眉を寄せた。
「詞織ちゃん……? どうしたの、その目……」
『あたしと詞織の違いに気づかないなんて……それでよくあたしの詞織を『愛してる』なんて言えたわね』
未だ怪訝な表情で言葉を失う垂水に、詞織――詩音は艶やかに口角を上げ、ゆっくりと印を結ぶ。
『【我を惑わす迷夢の旋律 立ち去り消えよ アビラウンケン】』
パン――ッと波が弾けたような衝撃音が鼓膜を叩き、真っ白な木漏れ日が視界を覆った。
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