第17章 開幕のファンファーレ【反省】
「ごめん……本当は、あった……でも……」
きっと、話してしまえたら少しは楽になるのかもしれない。
だが、これは自分が背負っていかなければならないことなのだ。
「でも、大丈夫なのは本当。むしろ、そのおかげで誰にも負けたくねぇんだわ」
二度と誰かの命を奪わなくていいように。
そして、誰も誰かの命を奪わなくていいように。
虎杖の言葉に、詞織は「そっか」と呟いた。
「言いたくないならいいの。ユージが大丈夫なら、それでいい」
「ありがと、詞織」
頭を撫でようと手を伸ばすと、伏黒が黙ってその手を払う。
「俺も割と負けたくない」
普段から本心を語らない伏黒の本音に、虎杖は嬉しくて口角を上げた。
すると、伏黒の後頭部がパンッと軽く叩かれる。
「何が割とよ。一度ぶっ転がされてんのよ⁉」
そう言って現れた釘崎の後ろには、二年生たち三人が続いている。
「メグ、勝とう。やられっぱなしは癪」
「まぁ……」
曖昧に返事をする伏黒へ、釘崎は「バッカ!」と追撃した。
「圧勝! コテンパンにしてやんのよ! 真希さんのためにも‼」
なぜそこで真希の名前が出るのか。その本人は「そういうの止めろ」と渋い顔をしている。
「明太子!」
「そう! 真希のためにもな‼︎」
本人の抗議は聞くがないのか。狗巻とパンダも続く。
やがて、試合会場である森の入口に、東京校全員が並んだ。
「へへっ! そんじゃ、まぁ……勝つぞ」
挑戦的に口角を上げる虎杖の背後から、「何 仕切ってんだよ」と真希が蹴りを入れられた。