第17章 開幕のファンファーレ【反省】
「とにかく! ちゃんと準備しておきなさいよ。最低でも、勝負服とか勝負下着とか用意した方がいいわ。伏黒を悩殺できるくらいの際どいヤツをね!」
「勝負? 悩殺?」
ヒラヒラと去って行った釘崎は、結局何をしに来たのだろうか?
そもそも、勝負服やら勝負下着やらが特に分からない。
京都校と服や下着で戦うのか?
いや、それならばなぜその話題に伏黒が上がるのか。
最初から最後まで意味が分からなかった。
こういうときは、伏黒に相談した方がいい。
詞織はさっそく伏黒の部屋へ行き、扉をノックした。
ガチャッと扉を開けた伏黒は、すでに訓練で着ていたジャージから部屋着に着替えている。
「どうした?」
低く耳に響く声とどこか優しい表情に、胸がキュンッと音を立てた。
「あ、えっと……野薔薇が部屋に来て……」
「釘崎?」
微かに伏黒の眉間にシワが寄る。それを不思議に思いつつ、詞織は続けた。
「なんか、明日の準備がって。何もいらないよね? わたし、手ぶらで行くつもりだったんだけど」
「いらねぇだろ。出迎えに手土産でも持って行けって言ってんのか?」
「いや、そんなんじゃなくて……最低でもメグを悩殺できる勝負服とか下着を用意した方がいいって……」
「は⁉︎」
パッと伏黒の顔が赤く染まったかと思うと、その顔を片手で隠して呻く。
「釘崎……アイツ、余計なことを……!」
「メグ……どうしよう! わたし、京都の人と勝負できるような服 持ってない! このままじゃ、わたしのせいで皆が負けちゃう!」
何がなんだか分からないが、少なくとも、誰かと張り合えるような可愛らしい服など持っていないのだ。夜も遅いし、買いに行くこともできない。