第16章 これから目指すファンタジア【成長/我儘】
「えぇ⁉︎ し、死んだ⁉︎ 虎杖くん、死んだことになってるの⁉︎」
「なってるっていうか……まぁ、実際 死んだんだけど」
これまでの経緯をかい摘んで順平に説明していると、彼はその都度 先ほどのように大声を上げて驚いた。
「っていうか……呪物を食べたって……大丈夫なの? そもそも、よく口に入れようと思ったね」
「あのときは無我夢中だったし……自分でも驚いてるけど」
伏黒や詞織と出会ったあの日から、もう一ヶ月以上が経ったのか。彼らと過ごした時間は一ヶ月には満たないが……もうすぐ再会できる。
早く、順平に皆を紹介したい。
すでに高専の制服に身を包んだ順平は、虎杖の話に赤い顔をしたり青い顔をしたりしている。
順平はまだ戦闘経験も浅く、訓練も積んでいないため、今回の交流戦は見学だ。ただし、虎杖の訓練には参加することになっている。
「あ、虎杖くん。五条先生と星也さんが待ってるよ」
順平が指差す先では、二人で話をしていた五条と星也がこちらに気づいた。手を上げる五条に、虎杖も手を上げて応じる。
正しい死に様なんて分からない。
ならせめて、分かるまで――真人を"殺す"まで――もう負けない。
そのための力を手に入れる。もっともっと強くなる。
大切なものを全部、守れるくらいに。
決意を胸に、新たな仲間を伴って、虎杖は二人の師の元へ駆け出した。