第15章 思惑の入り乱れるカンタータ【固陋蠢愚~殺してやる】
「ぐぁ……っ⁉︎」
ヒモの部分が無数の棘を生み出し、虎杖の手のひらを貫いた。
だが、虎杖は構うことなく、棘ごとヒモを握りしめ、思い切り振り回した。
窓ガラスを割りながら、真人が校舎の壁に激突し、大きなクレーターを作る。
「放すだろ、普通」
何という胆力なんだ。
驚いて声も出せない星也の視線の先で、虎杖は一気に劣勢に立っていた。
攻撃を避けられ、無数の棘に作り変えた身体で貫かれてしまう。
血を吐き出す虎杖に、星也は駆け出した。
虎杖では真人に勝つのは無理だ。
虎杖が弱いわけではない。真人が強すぎるのだ。
駆けつけようとする星也に、真人は意地の悪い笑みを浮かべ、ストックにしている異形を五体 放ち、足止めしてくる。
彼は星也に言葉を掛けることなく、虎杖をへ視線を戻した。
「さっさと代わんなよ、宿儺にさ」
「よせ!」
――【無為転変】
星也の制止も虚しく、真人の素手が虎杖の腹部に触れる――……。
* * *