第11章 来たる日のためのエチュード【邁進〜底辺】
「メグ……?」
「オマエが俺の立場だったらどうなわけ? 俺が他の女に迫られて、肌触られて、キスされそうになって……オマエ、何も思わないの?」
あ、と詞織の目が瞬いた。
数秒の沈黙の末、少女は眉を寄せ、伏黒の服を掴む。
「イヤ……! それは……すごくイヤ……」
「そういうこと」
伏黒の怒りの意味がようやく分かったらしく、詞織は拗ねたように唇を尖らせた。
まぁ、分かったのならいいけど。
「何か言われた?」
「メグよりキスとかそれ以上も上手にできるって」
「余計なお世話」
「メグは?」
「女の趣味がつまらねぇって」
「なにそれ、ヒドイ」
二人で話して、フッと笑い合う。
「どうする、アイツら」
「交流会でフルボッコにする」
詞織の肌に手を這わす伏黒に合わせながら尋ねると、そんな凶暴な回答が返ってきた。その間に、詞織も伏黒のジャージのジッパーを下ろしていく。
これからすることを考えると、不釣り合いな会話。
だが、それも終わり、互いを求める熱い視線が交わる。惹かれ合うように唇を合わせ、伏黒と詞織は互いの指を絡めた。