第59章 終わらないドミナント【渋谷事変/堅白】
虎杖の気配を追って辿り着いた脹相は、思わず動きを止めた。
激しい戦闘の痕跡を表すような抉れた地面、血だらけの虎杖と駆けつけた術師の応援、そして――……。
「やぁ、脹相」
「アイツは……!」
夏油や虎杖たちの視線が集まる。だが、そんなことを気にしている余裕はなかった。
脹相には三人の親がいる。
母と、母を孕ませた呪霊、その間に血を混ぜた――母を弄んだ憎むべき相手――……。
なぜ、今まで気がつかなかったんだ。
「気づいたようだね」
ほくそ笑む夏油に憎悪が込み上げ、奥歯を噛み締める。
「そういうことか――加茂 憲倫(のりとし)‼」
血を吐くような脹相の叫びに、その場にいた全員が息を呑んだ。
「加茂……っ⁉」
「憲倫⁉」
日下部とパンダの言葉を合図に、一部 視線が加茂に集まる。
「私⁉」
「ちょっと加茂っち、アイツに何したの?」
「どう見たって私に言ってないだろ! 視線がこっちに向かなかった‼」
そんな垂水と加茂のやり取りを無視して動揺は続いていた。
「何⁉ どういうこと⁉」
「加茂家の汚点! 史上最悪の術師! 本当なら夏油の中身は一五〇歳を超えてることになるわよ‼」
「馬鹿げた結界術、馬鹿げた呪具の所持、肉体を乗り換える術式を持つ黒幕の人選としては……妥当っちゃ妥当だな」
混乱する桃に口早に歌姫が説明し、日下部もうんざりしたように続ける。