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夢幻泡影【呪術廻戦/伏黒 恵オチ】

第57章 導く想いのコン・センティメント【渋谷事変】



 脳裏に星也の後ろ姿が過ぎった。


「託されたもの、背負うもの、自分を形作る全て……それらに今すぐ答えを出す必要はない。だが……答えが出るまで決して足を止めるな。それが呪術師として生きる者たちへの、せめてもの罰だ」

 学ランを脱ぎ捨てた東堂はそこまで言って、真人へ向けて走り出す。それを黙って見送ると、突然 背中をなぞられ、バンッと叩かれた。燕尾服の学生服を着た少年だ。

 初めてまともに見たが、おそらく京都校の生徒で東堂の後輩だろう。

「俺の術式を施しました。いいですか、虎杖くん。今まで君が受けた傷は、これ以上 悪化しません。治っとりませんが、出血も止まり、痛みも和らぐでしょう。でも、今ある傷だけです」

 また攻撃を食らえば傷は増えるし、その傷に関しては術式の対象外。

 虎杖の隣に膝をつき、燕尾服の少年は説明してくれた。

「あっちで倒れてた二人にも同じ処置をしました」

「え……?」

 あっちで倒れていた二人――釘崎と順平だ。

「俺らが到着したとき、クラゲの式神が女の子の術式の中和をしとりました。その後 俺の術式を施しましたけど、女の子の方は呼吸も脈も止まっとったんで、どこまで効くか分かりません。それでも、時間はそんな経ってへんし、中和が上手くいっとれば助かる可能性もゼロやない」

「順平……っ!」

 胸を貫かれ、術式が解除されたのを見た。死んでしまったと思っていたが、それから意識を取り戻したのか。

 そして、もう一度【澱月】を呼んで、釘崎を助けるために術式を……。

「俺は二人を連れて離脱します。言うときますけど、女の子に関してはゼロやないだけですからね! あんま期待せんといてくださいよ!」

「……うん……うん……っ!」

 一縷の希望が繋がった。そのことに胸が熱く震え、涙が出そうなくらい嬉しかった。
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