第56章 伸ばした手に掴むデテルミナート【渋谷事変】
――21:30
渋谷駅 地下4階
真人は漏瑚、脹相と、陀艮が水を吐き出し、人間を巻き込んで呑み込む様子を眺めていた。
『はい、飲んで飲んで飲んで』
真人は手を叩いてリズムをとる。陀艮はまだ幼体だから、たくさん食べさせてあげないと。
自分はもう充分 ストックしたし、地下五階以外の人間は好きにしてくれて構わない。
『――じゃ、虎杖を殺しまSHOW、再開ね』
『ならん!』
ゲップする陀艮の隣で、漏瑚が声を上げた。それを妖しく見下ろす。
『漏瑚、捕まえてごらん』
『なっ』
真人は顔面から皮膚を剥がし、もう一人の自分を作り、すぐさま走り出した。
『俺は地下、オマエは適当に。呼んだら戻って来いよ』
『言わなくても分かってるって』
『そりゃ そうか』
自分自身だからな。思考も筒抜けである。
二手に分かれると、後ろから漏瑚の『あ!』という声が聞こえた。
『バイバーイ』
後ろ手に手を振り、小さくした改造人間を投げつけ、壁のように道を塞ぐ。
「逃げられたな」
『ぶぅ――』
ぼそりと呟く脹相と陀艮に、『真人ォ――‼』漏瑚が炎を噴き上げて叫ぶ声が構内に響き渡った。
* * *