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【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった

第14章 意外な一面


明日お戻りの夫妻に合わせアリス様とケーキ作りをしていた。

焼き具合が勝負のスポンジをオーブンから絶妙なタイミングで出した私は集中していた。

そのタイミングで急に騒がしくなった。レインが珍しく大声でアリス様と何やら話している。集中したい私は此方へ来ないで欲しいと拒絶した。

その後、何だか話が噛み合わない感じだったが、侵入者等は居らず異常がないということで解決した。

何だか疲れている様子のレインに私は声を掛けた。

『あの、有難うございました』

「何がだ?」

『アリス様へのアドバイス…お陰で今に至ります』

「あぁ、別に俺は何も。」

そう言われたがこの人の優しさに触れた気がした。

長い間独りだったことで忘れていた事を口にした。

『…大切な人との食事って幸せですよね。』

それに対しレインから大切な人が居るのかと聞かれたが、今は居ないと答えた。本当の事だ。それに事故とは言え大切な人を私は失った。これからそんな人が出来ても私のこの状況じゃいつ死ぬか分からない。大切な人に私が味わった思いはさせたくない。

ふと、この人にはそんな人が居るのだろうかと思い聞いてみたが答えは聞けなかった。

──

アリス様に手順を教えながら作業を進め10歳の子供には難しいチョコレートのテンパリング作業になった。私がやりましょうと言ったが、アリス様は自分でやりたそうだったので任せる事にした。周りの事が気にならない程、真剣にチョコレートと向き合うアリス様を微笑ましく思った。

そんな時、離れたところでレインが立ち上がったのでチョコレートを持って駆け寄った。

『食べます?チョコレート。』

「いや、いい。任務中だ。」

だよね。だからアラバスタの時も何も出来なかった。残念そうに自分で食べ戻ろうとした所でグイッと腕を引っ張られ気づいたらキスされていた。

アリス様が居るのにと思いながらも、侵入してくる舌を拒めず受け入れてしまった。熱で溶かされドロドロになったチョコレートの影響で舌がよく絡み合う。角度を変えて与えられるキスに意識が持っていかれ身体の力が抜けそうになった時、グッと抱き寄せられ密着度が上がった。

離れていった唇にこの人とのキスは嫌じゃないと考えていると急に胸に顔を埋められピリッとした痛みが走った。

「美味かった。」

意味を理解し燻る身体の熱を抑える事が出来なかった──
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