【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第11章 彼女と彼
「…セレナ?」
「どうしたの?サボ君?」
「…あ、いや、何でもない。」
「変なサボくん!早く終わらせて帰るよ!」
「あぁ」
──
サボは自室のベッドの上で寝転がり考え事をしていた。先日、任務中にセレナが自分を呼んだ気がした。名前を呼ばれたとかではなく、ただ、何となく。
「あいつ、今頃どうしてんだ?」
セレナが今回の任務に就いてから1年半が経つ。今までにない位の長期で極秘な内容だけにドラゴンさんだけしか詳細は知らない。参謀総長の俺でさえ知らない事が多すぎる。知っていることは
期間は未定
危険
この2点。何なんだ一体。しかも危険な任務だとは後日知らされた。
セレナは優秀だ。頭はキレるし戦える。俺は今までそう思っていた。だけど、セレナを任務に送り出したあの日、感じた違和感が最近になって分かってきた気がする。
"セレナは強くない"
何となく勝手に強いと思っていたがそれは彼女の任務が単独任務ばかりだったから。そうならざるを得なかったのだ。人は皆それぞれ弱さも持っている。俺だってそうだ。お互い不足している所を補いながら生きている。皆が居るから今の俺がある。
俺はセレナに嫌われていると思っていたからあまり考えたことは無かったが、今思えばアイツはいつも独りだった。アイツなら男の1人や2人居てもおかしくない。アイツに好意を寄せている奴なんて沢山居る。恋愛感情を除いても慕ってる奴だって居るはずだ。俺やコアラもアイツのことは仲間として大事に思っている。
そんな中でセレナは孤独を貫いた。人を寄せ付けないような雰囲気は変わらなかった。
だが、あの日は違った。任務に就く俺の心配や俺の記憶の事を気遣ってくれた。加えてこのネックレスだ。お守りのようにいつも身に付けていた大事なネックレスを俺に持ってろと言った。これが俺を守ってくれると言いながら。
「お前は大丈夫なのかよ?」
サボはネックレスを見ながら呟いた。
仲間との関わりを持たなかった為、誰にも弱音を吐くことが出来なかったセレナ。任務の為に今もどこかで1人で頑張っているセレナを想像する。俺はセレナの恋人ではないが、あいつが寂しい思いをしているなら駆けつけて抱き締めてやりたいと思った。
「…お前、独りで泣いたりしてねぇよな?」
返ってくることの無い答えの代わりのように青い石がキラリと哀しく光った。