【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第19章 海軍の御用
『…ん』
大きな窓から差す日の光で目を覚ましたミスティ。目を擦りながら身体を起こした。
(…何かだるいし腰も痛い)
身体の異変を感じたミスティではあったが、だんだんクリアになる頭により眠る前の出来事を鮮明に思い出した。
『私、あの人と…』
優しく激しいキスを何度も交わし、あの人の熱を感じ、欲望を何度も受け止めた。お互い何度も呼び合った名前は身体を熱くさせた。幸せな時間だった。眠りに着いた辺りの記憶は曖昧だが、抱き締められ一緒に眠りに落ちたと思う。
(それに私…)
ミスティは先程まで居たであろう男を思い自分の隣を見つめて呟いた。
『言っちゃった…よね。』
──大好き
繋がった事に喜びを感じ、与えられる刺激で思わず気持ちを伝えてしまった。言うつもりなんて無かったし、そもそも好きだと思ったのも怪我から回復して目が覚めて少ししてからなのだ。目覚めた私を見てカレンやコリン、セツナが涙を流し喜んでくれた。その後、眠っていた間の出来事を大騒ぎしながら3人がそれぞれ話してきた筈なのに、内容は皆同じ。
"レン兄ぃは──"
"レインさんは──"
"スティルハートさんは──"
あの人の事ばっかりだった。だから手を握って頭を撫でてくれた優しい手、優しく触れた唇は間違いなくあの人だと思えた。意識し始めて早く会いたいと思うようになったのもこの時から。
でも…
『私は…諜報部員。』
しかも偽物のね、と付け加え悲しくなった。任務の為なら自身の身体さえも差し出し相手を誘う。元々そういう立場なのに加えて3回しか会ってないのにセックスはするし好きだとか伝えるし。軽い女だと思われたよね…幸せだった気持ちが嘘だったかのように沈んだ。
『とりあえず起きなくちゃ。』
自分の部屋ではないが抱かれた証が残る身体では外を歩けないのでシャワーを借りた。着替えた所で、メモに気付き急いで部屋を出た。
目的の部屋の前で深呼吸したミスティ。
(CP9のロゼ・ミスティにならなければ)
『よし!』
気持ちを切り替えドアを叩いた。