シロイ、ヒカリ / Hunter×HUNTER カイト夢/
第17章 残された、モノ
とにかく、無理はするな。
何かあれば連絡してこい。
ジンさんからそう言われて、私は病室を出た。
病院から出ようとするとー
「…ケイ!」
入り口にスピンとスティック、カイトの仲間が立っていた。
「スピン。みんな…」
「ケイ…っ…」
「良かった。みんな無事で…」
出て来たところを囲まれた。
カイトのアマチュアハンター仲間。
最後に一緒にいた人たちだ。
「ごめん、ごめん!
あた、あたしたち…っ
カイトになにもっ…
何も、してあげられなかった…っ」
泣きじゃくるスピンを抱きしめる。
化粧も落ちてずっと泣いていた顔のまま、スピンがぎゅっと抱きついた。
ハンターとして、後輩として。
カイトと行動し苦楽を味わってきた仲間たちだ。
失った辛さは大きいだろう。
しばらく抱きついて泣いていたスピンは、スティックに肩を叩かれてようやく体を離した。
「ごめん…
1番辛いのは、ケイなのにさ…」
その言葉に首を振る。
そっと、スピンの手を取ると、
そのまま自分のお腹に導いた。
怪訝な顔をしたスピンが、しばらしてはっと息を飲んだ。
「ケイ…
あんた、まさか……」
信じられない、というように私を見つめるスピンに、そっと微笑んでみせた。
彼女には、初めから言おうと決めていた。
「うん。…あの時の」
「なんで…ケイ」
問われて、うつむく。
予感があった、なんてものじゃない。
ただ、私は……
…殺してしまいたくなかった。
カイトが残した、命を。
ただ、それだけだった。
まじまじと私を見つめていたスピンの目から、また涙が溢れた。
「…………っ!!!
カイトの、ばかやろぉっ……
ばかっ、ばかばかばかばかっ…!
なんでだよっ、
……ちくしょおぉぉぉおっ!!」
しゃがみこんで地面を叩きながら泣くスピンを見て、目を閉じる。
目の奥にはまだあの時の。
青い空に消えていった、
白いカイトの姿が残っていた。