シロイ、ヒカリ / Hunter×HUNTER カイト夢/
第17章 残された、モノ
この人が謝るなんて。
想像したこともなかった。
「オレにも、協会から依頼は来ていた。
だが、オレは断った。
カイトがいるなら、十分だと…
思っちまったんだ」
横になったまま、ジンさんの言葉を聞く。
久しぶりに、自然と微笑むことができた。
カイト…
ジンさんに信頼されてたんだね。
弟子だけじゃなく、同じハンターとして。
それが、嬉しい。
「その、なんだ。
…いつだ?」
目をそらして尋ねることに、
あぁ、やっぱり調べられたんだな、と思う。
「…まだ、ずっと先です」
小さく答える。
「そうか。
オレに、できることはあるか?」
ジンさんの言葉に、首を振る。
今は、何もない。
私を待っていてくれたことで、十分だ。
それで気づいた。
さっきの、すまなかった、は、
私に向けてじゃない。
あれは…
お腹を撫でて、私は言った。
「ゴンが、王直属の護衛の1人と戦って…半死半生だと」
「…あぁ。念を高める為に、
身体に負担をかけすぎたんだ。
この地下で、治療を続けている」
ゴンが…。
明るい少年を思い出して胸が痛む。
「アイツが戦った奴な…
カイトを倒した奴だったそうだ」
この言葉に思わずジンさんを振り返る。
頭をガシガシかきながら、ジンさんが続けた。
「キルア、とか言ったな。
ゴンのダチが教えてくれた。
ゴンはくじら島でカイトに助けられて、オレのことを知った。
あの時ゴンは、テメエの生き方も見つけたんだ。
カイトがいなければ、ハンターのあいつはいなかった。
オレのことも知らずに、ずっとくじら島にいたかもな。
…だから、
ゴンは許せなかったんだろ。
カイトはアイツにとって…
恩人だからな」