第1章 ホワイトデー3倍返し!?
「景吾ーっ!!!!!!」
昼休み。
教室から出た俺の後ろ姿にいつものアイツの叫び声が飛んで来る。
隣のクラスの窓から滝が顔を出して、やるねー。等とニヤニヤ笑ってやがる。
俺様の名前を呼び捨てにするヤツなんざ、この氷帝学園にはコイツの他にいねえ。
初めは不愉快そうにしていた樺地も、最近じゃ屈託無く話しかけるコイツのペースにすっかり乗せられて返事をするようになったくらいだ。
早足で歩く俺にほぼ競歩状態で着いて来ながら、顔を覗き込まれた。
「今日、なんの日か知ってる?」
知らないはずはない。
朝からシューズボックスを開けば大量の包み紙。
机を覗けば甘い香り。
毎回寄付するくらいのチョコレートが俺の元にやって来る日。
バレンタインデーだ。
しかし、不思議と直接渡されたことはない。
俺様はそういう存在なんだ。
無視して真っ直ぐ前を見ながら学食へと歩を進める。
突然、目の前に出現するピンク色の包み紙。
「もー!バレンタインデーだよ!あげる!!!」
歩みを突然邪魔したその包み紙を、思わずキャッチしちまった。
「何の真似だ?俺様はお前にこんなモン貰う理由は……」
「ホワイトデーの3倍返し!期待してるね!愛情も!」
満面の笑みを一瞥する。
ふざけたことほざくな。
返す愛情なんざねえよ。
つづく