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【R18】遥かな愛

第1章 始まり



樹戸さんは学校の正門近くで降ろしてくれた。


「学校頑張ってね」

『…はい、ありがとうございました』


お礼を言う。


「じゃあ」


と言って樹戸さんは手を振った。私もつられて手を振る。


離れていく車を見送る。


『あ…』


学校に着いてから、ふと思い出した。


今日から1週間私、週番だ。


でもひとりじゃないからマシかな。


一緒にするのは誰か分からない。


とりあえず頑張ろう、と思いながら靴箱に向かった。






****





教室に入って、自分の席に座る。


鞄から教科書を取って、ゴソゴソと引き出しに入れる。


私の席にある人が立ち止まって声をかけられて顔を上げた。


「さん」


声をかけたのは、藤ヶ崎春樹(ふじがさき はるき)くんだった。


藤ヶ崎くんは学年一で頭がいい。名前は素敵だし、顔も素敵。それに性格だって。
だから彼は、女子からものすごくモテている。


「週番一緒だよね」

『えっ?、あ、うん……』


藤ヶ崎くんに言われるまで、一緒かどうか知らなかった。


『(そうなんだ、藤ヶ崎くんと一緒なんだ。なんか緊張する…)』


ぼんやりと考える。



「僕が日誌書くから、さんは窓の戸締まりをお願い」

『と、戸締りだけ?他もするよ、黒板の掃除とか』

「黒板の掃除するとチョークの粉が飛ぶけど、いいの……?」



たしかに粉が制服に付くのは嫌だけど、週番だしちゃんと仕事しないと。



『あんまり気にしないから、大丈夫……』

「分かった。あ、週番の引き継ぎは僕がいくよ」

『あ、ありがとう』



週番の引き継ぎ。


先週の週番と今週の週番が全クラス集まって反省するやつ、面倒だから行きたくない。


でも、ほとんどの仕事全部藤ヶ崎くんに任せていいのかな、と少し不安になった。


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