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【R18】遥かな愛

第1章 始まり



「何も来てないよ」


そうですか……、と私は小さく呟いた。


「この子洗ってくるよ」


そう言って、樹戸さんはジャケットを脱いだ。


『樹戸さん、毎日ここに来て大変じゃないですか?』


ここは私とお母さんと2人で暮らしているマンション。3ヶ月くらい一緒に住んでいるけど、樹戸さんは自分の家を持っているはず。


帰らなくて大丈夫なのか気になる。お母さんたまにしか帰ってこないのに、来てもあまり意味はなさそう。


「全然大変じゃないよ。それに、ちゃんを1人にさせれないしさ」


樹戸さんは子猫の頭を撫でながら話した。


彼の言葉に私は自分の事なのに、他人事のようにふーん…と頷いた。



『あ、夜ご飯は……』

「作っているのかい?」

『まあ……』

「じゃあ食べようかな」



私はパタパタと少し急いでキッチンに向かった。


お皿に触れてみると少し冷えている。私はレンジで温めようとお皿を持った。


『(あ、先にお風呂入りたかったな。)』


樹戸さんはお風呂に行く準備をしている。


子猫を洗うから多分樹戸さんのお風呂の時間長くなる。


出るのが遅くると、私が入るのも遅くなって寝るのが遅くなる。明日から学校だし、早く寝て早く起きないとなのに。


『(どうしよう……でも良いかな、猫の方が大事だし。)』



悩んでいる私に樹戸さんが声をかけた。




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